【特別寄稿】古い雑誌から見える死刑囚処遇

4、当時の死刑囚処遇

 いくつかのレポートを紹介しよう。

 死刑執行の事前告知は一律に行われていたわけではないらしいことがこの文章からわかる。大阪拘置所だけだったかどうかはわからないが、大阪では「修養がよくできた」死刑囚には事前告知をしたという。また家族との面会も肩揉みができるくらいの状態だったこと、処刑場へ花を抱いて向かったこと、それを新聞記者が目撃できたことなど今では考えられないほど緩やかだったことがわかる。

 次の引用は、無惨な話だ。

 この人は冤罪を主張しながら執行されてしまうのである。あってはならないことだ。免田栄さんが見送った死刑囚にも何人も冤罪を主張していた人がいたと書いているが(『免田栄獄中ノート』インパクト出版会)、誤判による死刑は決して珍しいことではなかったと思われる。

       «