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   【声明文】袴田事件再審無罪判決と死刑制度の廃止

 2024年9月26日、静岡地方裁判所は、袴田巌氏の再審公判において無罪の判決を下した。死刑事件の再審無罪判決は、これで戦後5件となる。改めて無罪推定の鉄則が再審手続きにおいても遵守されるべきことが確認されたことを喜びたい。また同時に、死刑制度そのものの残虐性が強く意識されるべきであることを指摘したい。

 袴田氏のケースでは、死刑確定者として長期間にわたって拘置されたことによって、精神的・肉体的に重大なダメージがもたらされたという看過しえない問題があることを指摘せざるを得ない。本件では幸い、生命が剥奪されることは回避されたが、失われた「生活の質(Quality of Life)」を取り戻すことは難しい。国はこの際、袴田再審無罪判決を受け止めて、いたずらに上訴を重ねることを放念し、さらに深く死刑制度や死刑確定者に対する処遇の在り方について、改めて検証し、世界140か国以上の国において死刑がもはや正当な刑罰制度として扱われていないことの意味をかみしめるべきである。死刑制度が、「拷問以上に残虐で、非人道的であり、かつ、品位を傷つける刑罰」(世界人権宣言及び市民的・政治的権利に関する国際規約)であることは、国際人権法上の確信になりつつある。

 私たちは、袴田氏の再審無罪判決を厳粛に受け止めるとともに、改めてこの「最後の野蛮」とも言われる死刑制度の廃止に向けて、国民世論の注意を喚起したい。

2024年9月26日
死刑をなくそう市民会議


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